[副校長] 宝島

宝島
本校の掲げる目標の一つに「自由を纏(まと)え」という言葉がある。自由とは好き勝手に振舞う事ではなく、自らの義務と責任を果たしたうえで手に出来るものだと教えている。では、全校生徒がそれを理解し行動しているかと言えば、正直「はい」とは言えない。まだまだ、理想の途上にある事は否めないのだ。

先日のこと、中学生が母親と見学に来た。いつもの様に説明が終わり、校内を案内した。時間はその日最後の授業が終わる直前である。案の定、授業を終えた生徒達が教室から大勢出てきた。友達と仲良く教室を出て来る女子生徒、先生と談笑している3年生男子…。その様子を案内している見学者と一緒に見ていた私は、嬉しさで思わず微笑んでしまった。

本校は服装等に基本校則が無い。髪の色も自由である。であるから、中学生やその保護者からすると高校生を見てると言うよりも、もう少し年齢の高い大学生のように見えなくもない。普通なら、怖気づいてしまう事があるかも知れない。しかし目にした光景は、伸び伸びとした生徒達の穏やかな笑顔。そして、その様子を見て安心した表情を浮かべた見学者の姿だった。

パンフレットや施設設備は、お金をかければ立派に出来る。オープンキャンパスなら生徒を指導して体裁も整えられる。しかし、普段の生徒達はそうは行かない。その学校の教育力がそのまま現れてしまう。しかし、本校生徒はどうだろう。校則が無くても、自らのバランス感覚でこんなにも気持ちの良い環境を生み出している生徒達。彼らこそが本校の宝なのだと改めて思えた時間だった。

ここ霞ヶ関高校は、キラキラした生徒たちの沢山いる宝島になりつつあるのだ。

 

 

2017.6.2  副校長 伊坪 誠

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