[副校長] 俺達の旅

俺達の旅
図書室の改装工事を終えた生徒会。今度はトイレも改装すると言い出した。その提案書に理事長・校長は「生徒がやりたいと言うのなら、失敗してもいいから思い切りやりなさい」と許可以上のあたたかい言葉で後押しをしてくれた。

改装工事は2階の男子トイレから。便器も内壁も全て撤去。四方の壁を覆っていたタイルをハンマーで粉砕するときなどは、埃とタイルの破片が飛び交う中を放課後遅くまで作業をおこなってくれていた。今ではがらんとしたコンクリート剥き出しの四角い空間だけとなったトイレを見るたびに、完成が楽しみになる反面、はたして本当に最後まで出来るのか多少不安にもなる大工事である。一連の校内改装工事中、いつの間にか生徒会スタッフ以外で手伝う仲間が増えてきた。作業中の笑顔と会話も。

「俺達の仲間になれ」とは、有名なアニメの主人公が言う決め台詞。その言葉は自分達と違う生き方をしてきた者や、さっきまで対立していた者たちにも投げかけられる。人と人とが仲間になるのに必要な事とは、いったい何なのかと考えさせられる。

仲間になるためには同じ行動をして同じ事を思う必要がある。異質な者は仲間とは呼べないから排除される…。それが仲間に必要な事だとしたら、先のアニメの主人の台詞も成り立たない。そうではなく、やり方や個性の違う者達が同じものを見つめながら様々な意見を持つ事。お互いを尊重しあいながら共に生き成長すること。個人個人の到達点は違えども、同じ方向に一緒に進む気持ちがあるということなのではないだろうか。学校での仲間も全く同じ。学校という船の旅で、同じものに向き合いながら違いを認め共鳴し合うのが仲間。学校はどれも同じ顔で同じ能力を持つザクやゴッグを量産する工場ではない。異質な意見の仲間がいるからこそ楽しくもあり意義があるのだ。そして同じ船に乗る個々が目指す針路は「素敵な大人になる」という未来。

通信制高校という私達の船は、全日制高校では味わう事の出来ない時間を手に出来る。経験してきた事も年齢も異なる仲間達がいる。違っている事が当たり前。キミの前向きな「やりたい」を暖かく見守り応援してくれる船長もいる。トイレも、壊せるw キミもこの船で、素敵な大人になる旅をしてみないか?

今、荒波の中で一人悩んでいるキミに大声で言おう、「俺達の仲間になれ!」と。

 

2017.11.20  副校長  伊坪 誠

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