[副校長] 桜咲け

川越の桜は今が満開。市内の公立小中学校では今週が入学式なので、初々しい新入生の笑顔が桜咲く街のあちらこちらで見られることだろう。

本校もこの時期に入学式を行い新入生に桜花の下を歩かせてあげたいところではあるが、本校の入学式は毎年4月中旬。なのでこの街の桜は終わってしまっているのが常である。

そこでというわけでもないのだが、本校では今日4月7日から二日間、入学前の準備登校をおこなっている。準備登校の参加については一般コース・特別コース共に任意である。ゆえに毎年数名、多いときでは十数名が不参加となるのだが、今年は入学予定者の全員から参加申し込みがなされた。実際参加した生徒たちを見ても、落ち着いていており聞く態度も良い。たまたま来校していた他校の先生にもその様子を見ていただいたのだが「数日前まで中学生だったとは思えない。まるで落ち着いた大学生みたいですね」と感心していた。(何故本校に入学してくる生徒はしっかりした人が多いのか? それは企業秘密。)

準備登校初日の今日一時間目は私の話。内容は、本校の校訓である「自由を纏え」の意味について、中学生だった頃の彼らが本校の説明会で聞いた話をより深く掘り下げた説明。読書の大切さと本校図書室の標語である「知の背伸びをしよう」について。そして卒業した先輩から頂いた後輩へのメッセージ紹介の3点。話の最後には諸君が今日集まった入学予定者全員と「友達」になれるかは分からない。しかし、既に全員が同じ目標を目指し歩んで行く「仲間」なのだということも話させてもらった。

準備登校一日目が終わる頃には朝の緊張もだいぶほぐれ、明るい笑顔で下校していく生徒達。彼らの笑顔が街の桜の下を通り、家まで続いてくれますように。帰宅後に今日学校で学んだことや感じたことを、家族に満開の桜のような生き生きとした笑顔で語ってくれますように。そして本校が生徒たちに、そんな毎日を提供出来る学校で有り続けられますようにと、元気に帰って行く彼らの背中を見送りながら、そう願った。

私も少しだけ遠回りをして、桜の下を帰るとしよう。

 

令和7年4月7日

霞ヶ関高等学校

副校長 伊坪 誠