[ 副校長 ] 始まったよ、春

始まったよ、春
だいぶ夜明けが早くなった。目覚めて窓を開けると、ほんのりとあたたかさを持った空気を頬に感じる日も増えてきた。庭に降りれば、晩秋に植え込んだムスカリの新芽たちが青空に向かって元気よく両手を広げたように土の中から顔を出している。先日は日だまりの中、赤地に白い斑点のテントウムシを発見した。どうやら次の季節が動き始めたらしい。

冬の厳しい風に身を縮めていた草木の芽や生き物たち。その厳しさに耐え抜いたもの達だけが、春を迎えることが出来るのだ。厳しさを耐えるのに必要なのは、忍耐力。この忍耐力には、どんなに強い北風や雪の重さにも頑なに耐える「強さ」と「しなやかさ」が必要となる。外圧に動じず、じっと耐えること。時にはしなやかに身を任せること。この二つを持ち合わせている生き物が、次の季節や新しい景色の中を進めるのだ。それは、人という生き物も同じこと。

たくさんの苦しみや辛いことを乗り越えて今、この文章を読んでいる皆さん。この文章とも書き手の私とも、乗り越えたからこその出逢いですね。かく言う私だって、人には言えない辛いこと・悲しいこと・苦しいことを、たくさんたくさん乗り越えて傷だらけ。傷だらけになりながらも、こうして立っているのです。立ち続けているうちに、人も強くてしなやかになると感じながら。

夕方、帰宅途中。日が延びて夕焼けがとても綺麗。乗り越えたから出会える景色。乗り越えようとしているからこそ出会える新たな自分。あなたなら、私なら、もっともっと強くてしなやかになれるはず。どんな季節や時代の中でも、前に進んで行けるはず。だから、これからも・・・風に吹かれて、しなやかに。春風の中を、軽やかに進みたい。

そうだ!、明日の休みには、新しい靴を買いに行こう。

霞ヶ関高等学校

副校長 伊坪 誠

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