[副校長] 知の背伸びをしよう

知の背伸びをしよう
ゲーム、アイドル、恋愛・・・。高校生の毎日は話題に事欠かない。その中でも、一番の話題はやはり恋愛についてか。「彼氏(彼女)が欲しい」・・・。いつの世も人は誰かに愛されたいものである。しかしただ愛される事を日々願うだけでは、事は上手く進まない。では、誰かに愛される自分になるためには、何をすべきなのだろうか?

 

人に愛されたければ、まずは自分を好きになる事から始めてはどうだろう。自分を好きになるためには、持っていないものを嘆くより、持っているものを磨く方が良い。何も持っていないと言うのなら、人間性を磨いてはどうだろう。人間である以上誰でもが持っている人間性というやつは、自分の気持ち一つでいくらでも高める事が可能だからだ。礼儀をわきまえた言動がとれる。自ら課題をみつけ取り組むことが出来る。他者と協力して事を成し遂げる。自己浄化に自助努力・・・。嘆いている暇などないくらいに、やれる事・やるべき事が次々とみつかるはずである。

 

大人の身体へと成長する発育期は、知的にも大きく伸びる時期である。しかし、毎日ご飯を食べ寝ていれば大きくなる身体とは違い、知的向上には勉強や読書、自然や社会の現象に対する興味・関心、自分の考えを理論立てて表明出来る言語力や文章力といった、時間と手間のかかる取り組みが必要となる。そのどれもが、多くの高校生にとって「面倒くさいもの」「つまらないもの」であり、出来れば「避けたいもの」である。だからこそ、知的向上に欠かせないこれらの事柄は、自らの意志を持たなければ始まらないし続かない。

そしてもう一つ大切な事は、勉強も読書も興味・関心も「背伸びをすること」である。高校生が足し算ばかりやっていても、絵本ばかり読んでいても、恋愛やアイドルゴシップばかりに興味・関心があっても知的向上は期待できない。今の自分より少しだけ高いレベルのものに目を向け手を伸ばして行くという行為、いわば「知の背伸びをする」ことが必要なのだ。知的にも人間的にも今の自分よりも少し高い所を目指し、嫌なもの・面倒な事にも果敢に挑戦する。そうし続けることで人は日々成長し人となる。

 

「知の背伸びをしよう」。いま校内の様々な場所にこう書かれたポスターが掲げられている。これは図書室が企画したキャンペーン。生徒の目に触れやすい場所に図書の企画コーナーを新たに設けた。日頃から掲示している新聞の切り抜きも、より知的レベルを高めるものを選定し貼っている。あとは自らの意志で動き出してくれるだけ。是非、果敢に知の背伸びをして欲しい。

知的にも人間的にも高め合う者達が集う場。全日制も通信制も関係ない。それこそが、学校のあるべき姿である。

 

 

2018.6.8  副校長  伊坪 誠

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