「おしゃれ」

6月である。世間では衣替えの季節。中高生の半袖シャツから伸びる白い腕が、まだもう少し先にある夏の日差しを待ちわびる様に眩しい。服装が自由な本校では、衣替えという概念が無い。無いからこそ、季節感には敏感だ。スキニーパンツに白シャツのシンプルコーデで青空の下を登校してくる男子生徒。花柄スカートが、初夏の風になびいて涼しげな印象を与えている女子生徒。マニュッシュな子も自分でアレンジした制服風コーデの子たちも、皆が皆思い思いの服装で登校して来る。その登校スタイルを見ていると、本校生徒の「おしゃれ偏差値」が年々高くなっていることに気づかされる。

「自由を纏(まと)え」という言葉を大切にしている本校。生徒達には真の自由をまとった人となりなさいと日頃から説いている。自由とは勝手放題に振る舞うことでは無い。自分に課せられた義務や責任をしっかり果たす事で手に出来るものが自由なのだ。そのことをふまえて、登校時の服装も自分で考えてごらんと話している。その結果が、生徒達の登校姿に繋がっているのだと確信している。

華美でなく、周りを不快にさせない。天気や季節感、今日一日のスケジュールを考慮しての服選び。お洒落とは、知識と知恵、そして人格の総体なのだ。だからこそお洒落を楽しむ事は、決して悪いことではないと考える。時には失敗し恥ずかしい経験もするだろう。しかしその恥ずかしい経験も自己を磨くに欠かせない財産となる。大切なのは、考えること、挑戦すること。お洒落も勉強も人としての成長も、なすべき事は同じである。誰かに注意されることなく自分にも周囲にも合った服を選び楽しむ生徒たち。見ていると微笑ましくも、頼もしささえ感じて来る。きっと彼らなら、未来を自由に歩いて行ける筈である。

今日もまた、いつもの登校風景。曇天の朝なのに、気分は実に爽やかである。

 

2019.6.3

霞ヶ関高等学校 副校長 伊坪 誠